卒業式

ついにこの日が来た。
"自由な学風"の意味を曲解したあまりにも自由すぎる
学園生活を送ってきた私も今日で晴れて大卒である。
毎日どうやって生きていこうか途方に暮れていた高校時代から
考えるとこれでも信じられないぐらい立派になったものだ。
笑って話せる日がくるさ、とはよく言ったもので、
まさに今となってはこれまでのことは、
辛かった高校時代のことでさえ微笑ましく思える。
正直言って、大学の5年間で知識や技量はそんなに向上していない。
学部の授業なんてはなから受けるつもりが無くて、
その通りに一切授業に出なかったら、
レポートで単位が出る科目を全て落として、
いきなり一年目で留年が確定してしまった。
おそらくこのとき初めて私は世間の厳しさというものを知って、
やらなければどうにもならないものも有るのだということを知った。
しかし、それもまた今となっては良い(苦い?)思い出だ。
そういうわけで、数えるほどしか授業に出ていないので、
大学で勉強をしたという感じは全く無いのだが、
それでも一つ大きく変わったと思うことがあって、
それはLispをはじめとする関数型言語との出会いだ。
私はプログラミングというものに対しての考えを大きく変えられ、
その異質なる概念は現状の閉塞したプログラミング環境を変革する
可能性を秘めているものと悟り、
最終的に私の興味対象自体も徐々にそのような
プログラミング言語の理論へと傾いていった。
このように、考えが全く転換されたということで、
この五年は意味があったということができそうだ。


他に特筆すべきはICPCだろうか。
二回生の時から参加しているので、もうずいぶん長くになる。
しかしこれももうほんの数週間後には終わりを迎える。
本当にもう終わってしまうのかと思うと寂しくもあり名残惜しくもあり、
それでも最後まで頑張らねばなと思う。
今こう振り返ってみて改めて思うのは、ICPCに出場して本当に良かったということだ。
世界レベルで自分のプログラミング能力を試すことの出来る機会というのは
それだけで貴重なもので、出るというだけで得られるものは大きいのだが、
それに加えて、合宿や練習会を通じて他の大学のいろいろなすごい人と
知り合いになって、交流が持てたことや、
世界大会に出場して世界中のトッププログラマの集まる、
その独特の雰囲気を体験できたことや、
さらにはそれを受けて総長に挨拶に行ったり
あろうことか賞までもらえることになったりと、
本当に色々と貴重な経験ができた。
ICPCに出場していなかったらこれら全てが無かったのだと思うと、
この大会とチームメンバーの二人には感謝してもしきれない。


なにはともあれ、今日で私は卒業する。
これは一つの区切りの終わりであり、また始まりでもある。
重要なのはこれから自分が何を為すことができるのか。
まだまだ先の見えない日々は続くが、
出来ることをとにかくやっていこうと思う。


そして、最後に自分へ。おめでとう。